巨人たちのレコード棚 その3。

「VA - John Lennon's Jukebox」


 巨人たちのレコード棚、最後はジョン・レノン

 先の2枚と違い、「ジョン・レノンが60年代後期に所有していたポータブルジュークボックスの中に収められていた楽曲をコンパイルした」という少し趣きの異なった一枚。このジュークボックスがどういうシチュエーションで使われていたかも興味をそそるところだけど、パーティーに最適な陽気なR&R、ソウルのナンバーが大半を占めている。


 オーティス・レディングなどのソウル、バディ・ホリーなどのR&R、当時ヒットしたであろうラヴィン・スプーンフル、ドノヴァンなどに混じって、影響を受けたボブ・ディランチャック・ベリーの曲、ビートルズ、そしてジョンがソロ作でカヴァーしたクラシックなナンバーも収められていて、ジョン・レノンという偉大なアーティストの音楽嗜好を垣間見るには最適な一枚かもしれない。


 さて、紹介した3アーティストのアルバムに共通点がひとつ。それは3人ともが同じある一人のアーティストのナンバーをセレクトしている事。


 それはリトル・リチャード。プリンスよりもマイコーよりも何十年も早かった「偉大なヒップ・スター」。厳格なキリスト教の家庭に生まれながら、ゲイであるために家を追われ、10代の頃から酒場でシャウトしていたという「R&Rの始祖」。チャック・ベリーの60歳のバースデイ・コンサートの舞台裏を描いた映画「ヘイル・ヘイル・ロックン・ロール」でもゲイでオッサンでのべつまくなし喋りまくるキャラクターを遺憾なく発揮して、強烈な印象を残していた。

 無名時代のビートルズが前座を務め、バックバンドにはジミヘンが在籍していたというリトル・リチャードの「偉大なシャウト」に、この偉大なアーティストたちも多大な影響を受けていたという事でしょうか。

 自らを「キング・オブ・ロックン・ロール」と呼ぶリトル・リチャードの「Rip It Up」、魂のシャウト。佇まいがかつてのプリンスを思わせて、ちょっとびっくり。