巨人たちのレコード棚 その2。

MOJO Presents Stooges Jukebox」


 英雑誌「MOJO」の独自編集付録CDがとにかくスゴい。クラッシュのカバーした曲や関連曲を収めた「RADIO CLASH」や、今年リリース40周年を迎えるビートルズのアルバム「サージェント・ペパーズ〜」の様々なアーティストによるカバーをオリジナルの収録曲順そのままに収めるなど、およそ「おまけ」とは思えない豪華さ。


 そのMOJO4月号の付属CDは、イギー・ポップが自ら編集した「Stooges Jukebox」。変態サーフロック、トラッシュメンの「Surfin'Bird」に始まり、リトル・リチャードやジェリー・リー・ルイスエディ・コクランなどの「オリジナル・ロック・ヒーロー」たちの曲や、ハウリン・ウルフジョン・リー・フッカーのブルース、そしてなんとデニス・コフィ「Scorpio」!W・ピケット「ダンス天国」のオリジナル、カンニバル&ヘッドハンターズ、「エレキギター・男・一人旅」リンク・レイのナンバーも!

 一見「王道」な選曲と見せかけて、癖のある「裏道」的な曲ばかりなのがイギーっぽい。実におどろおどろしく、イギー的悪趣味印の15曲。

  1. The Trashmen / The Surfin' Bird
  2. Little Richard / Tutti Frutti
  3. Jerry Lee Lewis / Breathless
  4. Eddie Cochran / Cotton Picker
  5. The Fabulous Wailers / Tall Cool One
  6. Dennis Coffey / Scorpio
  7. Link Wray / Rumble
  8. Howlin' Wolf / Moanin' At Midnight
  9. Junior Kimbrough & The Soul Blues Boys / Crawling King Snake
  10. John Lee Hooker / Drug Store Woman
  11. Bo Diddley / Say Man
  12. Frank Zappa & The Mothers Of Invention/ Help, I'm A Rock
  13. The Last Poets / Run Nigger
  14. Cannibal & The Headhunters / Land Of 1000 Dances
  15. MC5 / Looking At You

 元祖オルタナ。パンク・イコン、イギー・ポップ。ストゥージスを率いて「探して壊せ!(Search&Destroy)」なんて歌ってた頃は生きてるのが不思議なくらいの、超ジャンキー。映画「トレインスポッティング」では「英雄、神」と崇められながらも決して「過去の人」にはならないしぶとさ。年齢を重ねてからは若気の至りを反省するかのように、「健康志向」に180度方向転換したビルドアップされた身体に、残念ながらドラッグと長年の不摂生の影響がモロに出たシワくちゃな顔で、今日も走り続けてる。



 実はこの付属CDは、同時期にリリースされたストゥージス実に34年ぶり(なんと!)のニューアルバム「Weirdness」にタイミングを合わせたモノ。ほぼ一発録りで完成したこのアルバムの中身は、時を経ても何も変わらぬカッコ良さ。イギーが歌い、ロン・アシュトンのギターが唸りをあげる。混沌、オルタナティブ、そしてクール。年齢やテクニックなんか関係ない。カッコ良けりゃいいの!


 若かりし頃のイギー、究極のドM的ラヴ・ソング「お前の犬になりたい(I Wanna Be Your Dog)」短いけど。

Avenue B

Avenue B