巨人たちのレコード棚 その1。

Paul Weller / Under The Influence」



 音楽を聴いていく上で影響を受けたアーティストが、どういった音楽的なルーツを持っているのかというのはとても気になるところ。歴史に大きな足跡を残す偉大なアーティストたちはどういう音楽を聴いて育ったのか、そしてそれをどういう風に吸収して、自らの作品に反映させていったのかとても興味がわきます。



 というわけで、「巨人たちのレコード棚」と題してアーティスト自身がコンパイルした、「影響を受けた曲たち」を収めたアルバムを紹介してみようと思います。



 まず最初は我らが「モッド・ファーザー」こと、ポール・ウェラー。言わずと知れたジャムのリーダーとしてパンク/ニュー・ウェーヴシーンで鮮烈なデビューを飾るも、その音楽志向は、R&Bやファンクに裏打ちされた「真っ黒」なもの。ジャム解散後、ミック・タルボットと組んだスタイル・カウンシルで、その黒い音楽性は爆発します。


 そんなポールが編纂した自らの音楽遍歴を表したのがこの「Under The Influence」。これはシリーズ化されていて他にもモリッシーイアン・ブラウンなどの盤も出ているのだけど、やはり気になるのはポールの「黒人音楽」への執着と愛情。だから僕が持っているのもコレだけ 汗。


 文字通り「影響を受けたモノ」がずらっと並べられたその内容は、リトル・リチャードに始まり、ブリティッシュ・インヴェンションのなかでも美しい名曲、カジュアルズの「Jesamine」やジャズのヘッドハンターズやチャールズ・ミンガス、レゲエからはジョン・ホルトにウェイラーズ、ビッグ・ユースと、じつに多彩で意外な組み合わせ。あっと驚いたのは、ディアンジェロの「Devil's Pie」とファンクドゥービースト「Doobie to the Head」といった、ある意味「硬質なHip-hop」が収められていた事。この少ない音数で表された「最大級のファンクネス」が、盲目ゴスペル・グループ、ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマと同列に位置づけられている事に、ポール・ウェラーという人の懐の深さを思い知らされるやら、納得させられるやら、やっぱりスゴいなぁ〜。最後に収められたコルトレーンの「Ole」が渋い。


  1. Little Richard / Slippin and Slidin'
  2. The Headhunters / God Made Me Funky
  3. Ritchie Havens / Handouts in the Rain
  4. D'Angelo / Devils Pie
  5. Charles Mingus / Passions of a Man
  6. The Casuals / Jesamine
  7. The Winstons / Colour Him Father
  8. John Holt / Ali Baba
  9. Funkdoobiest / Doobie to the Head
  10. Marvin Gaye / Pretty Little Baby
  11. Blind Boys of Alabama / Jesus Gonna Be Here
  12. The Kinks / Big Black Smoke
  13. 5Stairsteps / We Must Be in Love
  14. The Wailers / Small Axe
  15. Big Youth / Hit the Road Jack
  16. John Coltrane / Ole

 やっぱりポールが受けた「黒人音楽からの影響」は、マーヴィン・ゲイや、カートムにも在籍の5ステアステップスなどの曲が物語っていますね。ジャム時代のベスト「ゴールド」にも収められていたカーティス校長の「Move On Up」カヴァー、TVショーの様子を。やっぱりカッコいいや。


Under the Influence: Paul Weller

Under the Influence: Paul Weller