”耳福”の時!? 〜Vampisoul〜

「Movers! (2007 Vampisoul Records Sampler)


 映画「燃えよドラゴン」にも出演していた黒人空手スター、ジム・ケリー主演の「黒帯ドラゴン」のテーマ(Theme Of Black Belt Jones)を担当したDennis Coffeyは大定番Breaks「Scopio」も生み出したモータウンのセッション・ギタリスト。その「真っ黒」なサウンドからてっきり黒人と思い込んでいたら、先日発売された名盤「Big City Funk」のジャケを見てびっくり。白人のメガネの兄ちゃんでした(苦笑)


 先入観というものは恐ろしいものですが、そのサウンドは太いベースに絡むワウ・ギターから、ジャジーなフルートをフィーチャーしたナンバーまで、かゆい所に手が届くような、いちいちキマるカッコ良さ。


 この歴史的とも言える「埋もれた名盤」を発掘してくれたのが、スペインのレーベル「Vampisoul」。ファンク、ジャズ・ファンク、ブラジリアン、スパニッシュ、R&B、ラテンのレア・グルーブをリイシューするこのレーベルの2007年版のサンプラーが発売されたのでさっそく入手。

 
 一曲目から伝説のデトロイト・ソウル・シンガー、Nathaniel Mayerのはじけた歌声。すこししゃがれたヴォーカルがいなたいトラックと相まってバッチグー(死語)。お決まりのDennis Coffeyなどにつづいては、本レーベルからアンソロジーもリリースされたSoul SearchersのJ・Bカバー「Think」(!)、そして人を食ったようなゲップの音(笑)で始まる、フィリー・ブルー・アイド・ソウル・グループ、Soul Survivorsの「Respect」。この一曲で完全にK.O & お腹いっぱい。

 つづく後編はこのレーベルの得意どころでもあるブラジリアン〜ラテンのラインナップ。
サルサのWilly BoboやNew Swing Sextet、ブラジル・レア・グルーヴのBanda Uniao Blackなど、噂は耳にするものの今まで聴く機会の無かった、個人的に「幻の」アーティストが目白押しで、”眼福”ならぬ”耳福”を感じる。

 
 ジャンルはバラバラながら、全編を通じて共通するのは「いなせな」カッコ良さ。この辺の絶妙なバランスを持ったアーティストに触れる時、いつも思うのは「古い」も「新しい」も関係ないということ。そして未聴のアーティストをジャンルレスで聴けるのも実に有り難い。
 

 Vampisoulの手に取るようにわかる方向性と、レーベルのサンプラーとしてこの味が出せるのは、かなりのセンスと見た。これから目が離せないレーベルがまたひとつ増えたのは間違い無し。

VAMPISOUL in serchof the cool (label HP) http://www.vampisoul.com/