ヨーロッパ・鬼才SSW 2 〜Tuomo〜


「Tuomo/My Thing」

 続いては、フィンランドヘルシンキをベースに活躍するSSW、Tuomo(トゥオモ)。

 
ピアニストとして早くから欧州各国の音楽賞を総なめにし、Quintessenceなどにもキーボーディストとして参加するなど、実力派の26才。その70's・ソウル・フレーヴァー溢れるスタイルから、「北欧のS・ワンダー」などと呼ばれているそう。

 この「◯◯のS・ワンダー」という形容ほど、陳腐で胡散臭いものは無いけど、このフィンランドの才気に満ちた若者のデビュー・アルバムは、「音楽を聴く歓び」を実感できる、素晴らしい内容。


 特筆すべきは、先行シングル「Don't Take It Hard」。ストリングスとホーン、コーラスと奇跡的な調和を聴かせるソウル・ダンサー。ノーザン好きにはたまらない躍動感!21世紀の今日、これだけ「ノーザン・ソウル」のテイストを表現できるアーティストがいるだろうか。とにかく最高。ノーザン最高!


 他にもハモンドオルガンの響きとファンクネスが素晴らしい「My Thing」や、スィンギンなテイストの「I Won't Worry」、深いヴォーカルが胸を打つバラード「My Wish」など、名曲ぞろい。

 
 あのジャイルス・ピーターソンも大絶賛しているということからも、大器を思わせるその実力とセンス。個人的には長く聴き続ける名盤になること間違い無し。しかし、先のBenny Singsといい、あらゆるエッセンスを飲み込み、個性的なアーティストを生み出すヨーロッパの音楽的土壌というものにはスゴく興味を引かれる。おそるべし、ヨーロッパ。



マイ・シング

マイ・シング